棋聖戦
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 第28期 棋聖戦七番勝負 第3局 (三重県桑名市 六華苑) 

◆ 2月5日(木)午後7時09分 羽根が3連勝

白番:山下敬吾 棋聖 7時間54分 1−263手
黒番:羽根直樹 天元 7時間56分 (持ち時間各8時間)
午後7時09分終了 黒3目半勝ち
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棋譜

 第28期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、山下敬吾棋聖と挑戦者・羽根直樹天元の第3局は4日午前9時、三重県桑名市の六華苑で始まった。ここまで羽根の2連勝で、山下にとっては負けられない一局だ。

 3日に行われた前夜祭で、羽根は「最高の舞台である棋聖戦七番勝負を、古里の三重県で打てるのはとてもうれしい。素晴らしい碁を打ちたい。期待して見ていて下さい」ときっぱり。山下は「このところ負けっ放しで大きなことは言えませんが、運気を変えてまた頑張りたい。羽根天元の地元の方はともかく、全国の囲碁ファンは互いに勝ったり負けたりという展開を期待していると思うので、いい碁をお見せしたい」と決意を表明した。

 会場の六華苑は、山林王と呼ばれた桑名の実業家、二代目諸戸清六の邸宅として大正2年(1913)に建てられた。洋館部分は、鹿鳴館などを設計したジョサイア・コンドルが手掛けた。洋館と和館は平成9年に国重要文化財に指定されている。

 対局室は和館に設けられ、定刻の3分前に山下が入室、白布で盤上をふき清める間に羽根も現れた。どちらも落ち着いた表情だ。定刻、立会人の山城宏九段が「始めて下さい」と声をかけ、先番の羽根が右上小目に第一手を打った。

 羽根が黒5で右上に締まると、山下は白6と低い中国流に構え、じっくりした立ち上がりとなった。白10は下辺の攻めをにらんだカケ。解説の中野寛也九段は「実に積極的な手。この布石では見たことのない珍しい手です」と話した。

 羽根は黒11から出切り、激しい戦いに突入した。白14はさばきの手筋。白16,18は山下らしい手厚い打ち方だ。黒19の詰めは控室の予想になく、羽根らしい足早な手。両者の持ち味がよく表れた展開となった。

 この詰めに対し、4十五と一間に受ければ穏やかだが、山下は40分の長考で白20と下辺に打ち込んだ。羽根の手番で昼食休憩に入った。

 午後1時に再開。黒23の押しは力強く、羽根の最近の棋風を物語っている。白24のハネは当然の一手。山下は下辺を保留して白26と反撃、忙しい局面になってきた。

 羽根は黒27の一間跳びに1時間以上を投入した。守りと攻めを兼ねており、予想された手の一つだ。白30までは自然な流れ。「分断された白がどのように収まるかが一番の焦点。競り合いが中央に拡大しそう」と中野九段。

 黒33の下がりは、白の眼形を奪い、いじめてから右辺に回ろうという厳しい手だ。難解な中盤戦を迎えて山下が34手目を封じた。

 2日目朝、両者が前日の手順を並べた後、立会人の山城宏九段が開いた山下の封じ手は、予想された一つ、白34のカケツギ。12十四の切りを防ぐ本手だ。

 山下は白38と右下に転戦した。黒43の膨らみは好手。これがないと、白のアテコミ(13十二)が厳しい。右下の黒と右辺の白がそれぞれ収まった後、羽根は黒51から再び下辺の白に迫った。

 黒55のツケに対し、白56のブツカリが強手。山下は白58を利かしてから白60と切る。苦心の手作りだ。しかし、黒63のアテコミが、白の逃げ出し(7十四)を防いだ、鮮やかな返し技。中央の競り合いが続くなか、昼食休憩に入った。

 中央の攻防が一段落した後、どちらが右辺に手を回すかが今後の焦点」と中野九段。

 再開後、山下は白2子を捨て石にし、白74と切って反撃。羽根は黒79と左辺を動きだした。場合によっては黒3子を捨て石にしようという様子見の手だ。

 午後になって控室には、地元中部勢を中心にプロ棋士が続々と訪れ、モニターテレビを見ながら熱心に検討している。立会人の山城宏九段、読売新聞解説の中野寛也九段、NHK衛星放送解説の結城聡九段、それに土田正光、伊藤庸二九段ら十数人。

 羽根の父の泰正九段も足を運び、「息子の応援というより、一観客として来ました。大熱戦で面白いですね」と笑顔を見せた。

 黒93のハサミツケに、山下が「しまった」という表情を見せた。見損じがあったのかもしれない。黒101からのコウ争いが羽根の狙い。白の生死がかかった戦いだ。羽根は黒111からの巧みなコウ材で薄かった中央を補強。山下は白128とコウを解消したが、その間に羽根は右辺をえぐった。

 白162の押さえから大寄せに入り、上辺に大きな白地がまとまりつつある。それまで控室では「羽根天元が優勢か」という見方が強かったが、寄せ勝負が進むにつれて「かなり細かい」という声が増えてきた。両者とも、神経をすり減らして形勢判断を重ねた。

 小寄せになって羽根が小差でリード。山下は懸命に追い上げを図ったが、白182では183と押さえる方が大きく、黒183から上辺の白地が減って差が広がった。

 第4局は18、19日、広島県因島市のナティーク城山で行われる。

 羽根天元の話「序盤は悪かったが、コウの粘りで得をすれば何とかいけるのではないかと思った。また一局ずつ頑張るだけです」

 山下棋聖の話「次の対局では開き直っていくしかありません」

 

 

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